自筆証書遺言については、遺言書の本体には、全文、日付、氏名の自書を要します(民法968条1項)が、改正民法により、財産目録の全部又は一部は自書による必要はないことになりました。
この場合、財産目録の毎葉(各頁)に署名し、印を押さなければならないことが定められました(改正民法968条2項)。
自筆証書遺言の改正については、平成31年1月13日施行です。
遺言者は、法務局に、自筆証書遺言の保管を申請できることになりました
(法務局における遺言書の保管等に関する法律)。
法務局に保管された場合、自筆証書遺言について、家庭裁判所での検認
(民法1004条)が不要となります。
遺贈義務者は、遺贈の目的である物又は権利を、相続開始の時(その後に当該物又は権利について遺贈の目的として特定した場合にあっては、その特定した時)の状態で引き渡し、又は移転する義務を負う。ただし、遺言者がその遺言に特段の意思を表示したときは、その意思に従うと定められました(改正民法998条)。
(1)遺言執行者の通知義務
遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならないことが明記されました(改正民法1007条2項)。
(2) 遺言執行者の権限
ア 「遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する」との規定に、「遺言執行者は、」の後に、「遺言の内容を実現するため」との文言が改正法により付け加えられました(改正民法1012条1項)。
イ また、遺言執行者がある場合には、遺贈の執行は、遺言執行者のみが行うことができることが、規定されました(改正民法1012条2項)。
ウ 特定財産に関する遺言の執行に関しては、遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下、「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第1項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる、と規定されました(改正民法1014条2項)。
民法第899条の2第1項は、相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分は、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないことについて規定されています。
なお、特定財産を承継された相続人は、上記とは別に、単独で所有権移転登記をすることは可能です。
預貯金債権についての特定財産承継遺言である場合、遺言執行者は前項(改正民法1014条2項)に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求又はその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをする権限を有することが規定されました((改正民法1014条3項)。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限るという制限があります。
(3) 遺言執行者の復任権
遺言執行者は、遺言者が遺言に別段の意思表示をしたときを除き、自己の責任で第三者に任務を行わせることができる(改正民法1016条1項)。
この場合に、やむをえない事由があるときは、その選任・監督についての責任のみを負う(改正民法1016条2項)ことが定められました。
改正前は、遺言執行者は、やむをえない事由がなければ、復任権(第三者に任務を行わせることができる権利)がありませんでした。しかし、それでは、難しい法律問題が含まれる場合など、弁護士等の法律の専門家に任務を依頼したほうがよい場合に不都合が生じます。そこで、法改正がなされました。
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